えーびーさんご よみました

芥川賞を獲った黒田夏子さんの「abさんご」を読了しました。

今まで純文学とはこういうものだ!と思っていた「芥川龍之介」さんや「太宰治」さんや「村上春樹」さんの本を数札読んでも想像とは違っていたので、個人的に考える「純文学」はあくまで想像の中でしかなかったと思っておりましたがこの本を読み終えたときに、これこそが純文学だ。と納得してしまいました。


文章は横書き。名詞を使わず、一定の言葉(使用される定義は見い出せませんでしたが、多分子供の使用する言葉において)はひらがなで書かれている本書。
普通の本のように主人公が出てくるのでその周辺の環境のストーリーなのかと思いきや、章節ごとが短く話も飛び飛びなので最初はちょっと戸惑ってしまいましたが、途中で「これはストーリー仕立ての詩かも」と気付くとひらがなや回りくどい名詞の表現も違和感無く読み進められました。


人によって苦手な人も居るかもしれませんが、「ひらがな」の多用は面白かったですねぇ。
普通はストーリーを読み進めると世界観に没入してしまって、気付かないうちに文章を脊椎反射で理解してしまうクセがあるのですが、ひらがなで書かれている箇所は「ひらがなを読む」→「分節で漢字に変換」→「理解」というパソコンにおいての漢字変換と同じプロセスを辿るので、加速もせず文章を読むという想像していた「純文学の読み方」が出来ました。
背表紙から読み始める普通の縦書き小説も面白かったですし、芥川賞で名前が出てこなかったらこの人の本を読んでなかったかと思うと「賞」も良い仕事しますねぇ。


野田さんと植村さんの本を全部読んでしまったので、夏目漱石さんの本を読んで日本語にどっぷり浸かろうと思います。ではでは。